留学生情報

ヨーロッパの医学部生はどんな高校から進学している?在学生の経歴から見る多様なルート

ヨーロッパで医学を学ぶ日本人学生の進学前の経歴をもとに、中高一貫校、IB、インター、大学・社会人経験など多様なルートを紹介します。

2026年4月29日

ヨーロッパの医学部生はどんな高校から進学している?在学生の経歴から見る多様なルート

この記事では、ヨーロッパで医学を学ぶ日本人学生の進学前の経歴をもとに、どのような高校・大学・社会人経験から海外医学部に進んでいるのかを整理します。

ヨーロッパで医学を学ぶ学生の背景はかなり多様

ヨーロッパの医学部に進学している日本人学生というと、帰国子女やインターナショナルスクール出身者を思い浮かべる人もいるかもしれません。たしかに、英語や海外経験に強みを持って進学している学生はいます。

しかし実際には、背景はもっと幅広いです。日本の中高一貫校、地方の公立高校、大学附属校、IB校、インターナショナルスクール、海外高校、国内大学、薬学部、社会人経験、アルバイトをしながらの準備期間など、進学までの道のりは一つではありません。

ヨーロッパの医学部を目指すうえで大切なのは、出身校の名前そのものよりも、英語で医学を学ぶ準備、理科科目の基礎、自分で情報を集める力、そして医師を目指す理由を持てているかです。

進学前の経歴に見られる主なパターン

1. 日本の中高一貫校・進学校から進む

ヨーロッパで医学を学ぶ学生の中には、日本の中高一貫校や進学校から進学している人がいます。

たとえば、ラ・サール高等学校、私立AICJ中学・高等学校、茗溪学園中学高等学校、東京都立桜修館中等教育学校、関西学院千里国際高等部、私立明治学園中学・高等学校、県立柏陽高等学校、福岡県立城南高等学校、桐蔭学園高校、高知学芸中学高等学校、仙台市立仙台青陵中等教育学校など、さまざまな学校の出身者がいます。

これらの学生の進路は、国や大学によっても異なります。ハンガリー、チェコ、ルーマニア、スロバキア、ラトビアなど、英語で医学を学べる大学へ進んだ例があります。高校卒業後すぐに入学する人もいれば、予備コースや英語研修、国内大学での学びを経て進学する人もいます。

2. IB・海外経験を経て進む

IBを履修していた学生や、海外留学の経験がある学生もいます。国際バカロレアを取得した人、IBのretakeを経験した人、中学・高校時代にオーストラリアやニュージーランド、アメリカ、フランスなどへ留学した人もいます。

IBや海外経験があると、英語で学ぶ環境に慣れている点では強みになります。特に、英語でレポートを書いたり、ディスカッションをしたり、自分の意見を説明したりする経験は、海外医学部での学びにもつながります。

一方で、IBや長期留学の経験がない学生も多くいます。英語が得意でない状態から予備コースに入り、入学後も努力を続けている学生もいます。

3. インターナショナルスクール・海外高校から進む

インターナショナルスクールや海外高校からヨーロッパの医学部に進学する学生もいます。

たとえば、タイのインターナショナルスクールでIGCSEやA Levelを学んだ後にハンガリーへ進学した学生、アメリカの高校からチェコの医学部へ進学した学生、オランダのUnited World Collegeで学んだ後にオランダの医学部へ進んだ学生、アメリカンスクール卒業後に日本の医学部受験を経てイギリスへ進学した学生などがいます。

海外高校出身の場合、英語で学ぶ環境への適応は比較的スムーズなことがあります。ただし、医学部では英語力だけでなく、生物・化学などの理科科目、試験への対応力、長期的な学習習慣も求められます。

4. 国内大学や別分野を経て進む

高校卒業後に国内大学へ進学し、その後ヨーロッパの医学部へ進む人もいます。

関西学院大学、慶應義塾大学、薬学部、東京医科歯科大学、臨床検査学部など、進学前の専攻はさまざまです。大学での学びや実習を通じて、改めて医師を目指したいと考えるようになった人もいれば、入学後に想像していた進路との違いを感じ、海外で医学を学ぶ道を選んだ人もいます。

このルートでは、高校卒業直後の進学と比べて、進路変更の理由や将来像をより深く考えている人が多い印象があります。学び直しが必要になる場合もありますが、大学で得た経験が医学部での学びや将来の専門性につながることもあります。

5. 社会人経験を経て進む

社会人を経てヨーロッパの医学部に進学している人もいます。専門商社、コンサルティング、国際物流、薬剤師、アルバイトや期間工をしながらの準備期間など、医学部入学前の経験は多様です。

社会人から医学部を目指す場合、年齢、費用、学習ブランク、家族、キャリアの再設計など、考えるべきことは多くなります。それでも、ヨーロッパの医学部は「今から医学を学びたい」という思いを持つ人にとって、国内だけに限定されない選択肢になっています。

社会人経験を持つ学生は、自分がなぜ医師を目指すのか、どのような働き方をしたいのかを明確に考えていることが多く、その経験が医学部生活の支えになることもあります。

国ごとに見える進学ルートの違い

ハンガリー

ハンガリーでは、センメルワイス大学、セゲド大学、ペーチ大学、デブレツェン大学などに日本人学生が在籍しています。中高一貫校、IB経験者、インターナショナルスクール出身者、国内大学や社会人経験を経た学生など、背景は幅広いです。

英語で医学を学べること、費用面や奨学金、先輩の実績、日本人ネットワークなどが進学理由として挙がることがあります。

チェコ

チェコでは、マサリク大学、カレル大学の各医学部、パラツキー大学などに進学している学生がいます。日本の高校から予備コースを経て進む学生、海外高校から直接進む学生、社会人経験を経て進む学生など、ルートは多様です。

ヨーロッパの中心にある立地、歴史ある大学、シミュレーション設備、少人数で学べる環境などに魅力を感じて進学した例があります。

ルーマニア

ルーマニアでは、グリゴレ・T・ポパ医科薬科大学、ティトゥ・マイオレスク大学、ヴァシレ・ゴルディシュ西部大学などに進学している学生がいます。高校卒業後に海外医学部を検討した学生、薬剤師を経て医学部に進んだ学生、大学中退後に英語や医学の準備をして入学した学生などがいます。

学費、少人数制、英語環境、入学時期、大学ごとの教育スタイルなどが進学先選びの要素になっています。

出身校より大切な4つの力

1. 英語、または現地語で学ぶ力

ヨーロッパの医学部では、英語で医学を学ぶ大学が多くあります。一方で、国や学年が進むにつれて、臨床実習や患者さんとのコミュニケーションで現地語が必要になる場面もあります。

英語で授業を受ける力に加えて、チェコ語、ハンガリー語、ルーマニア語、ブルガリア語、ラトビア語、フランス語、オランダ語など、生活や実習で必要になる言語にも向き合う姿勢が大切です。

2. 生物・化学を学び直す力

医学部では、生物や化学の基礎が重要です。高校で理系科目にしっかり取り組んだ学生もいれば、文系選択や大学・社会人経験を経て、ブランクのある状態から学び直した学生もいます。

重要なのは、入学前の状態だけで判断しないことです。必要な科目を把握し、予備コースや独学、学校の授業を通じて基礎を固めることが大切です。

3. 情報を集めて比較する力

ヨーロッパと一口に言っても、国や大学によって制度は大きく異なります。入試形式、学費、生活費、卒業要件、臨床実習、国家試験、日本で医師を目指す場合の準備、現地で働く可能性など、比較すべき点は多くあります。

誰かの進路が自分にもそのまま合うとは限りません。複数の国や大学を比較し、自分の目的、予算、語学力、将来像に合った場所を選ぶことが大切です。

4. 自分の理由を言葉にする力

海外で医学を学ぶ道は、華やかに見える一方で、簡単な道ではありません。授業、試験、言語、生活、孤独、進路の不安など、乗り越えるべき壁はあります。

だからこそ、「なぜ医師になりたいのか」「なぜ海外で学びたいのか」「将来どのように医療に関わりたいのか」を自分の言葉で考えることが大切です。この理由が明確であるほど、苦しい時期を乗り越える支えになります。

高校生が今からできる準備

英語の基礎を固める

まずは英語の読解、リスニング、スピーキング、ライティングをバランスよく伸ばすことが大切です。医学英語は入学後に本格的に学ぶとしても、英語で授業を受ける土台を作っておくことは大きな助けになります。

理科科目を大切にする

生物・化学は、海外医学部を目指すうえで特に重要です。国や大学によって入試科目は異なりますが、医学部で学ぶ内容の土台になるため、高校段階から丁寧に取り組んでおく価値があります。

課外活動や経験を将来につなげる

部活動、生徒会、探究活動、ボランティア、留学、音楽、スポーツ、アルバイトなど、一見医学とは直接関係がなさそうな経験も、将来像を考える材料になります。

実際に、スポーツ経験からスポーツ医を目指す人、海外経験から国際的な医療に関心を持つ人、家族や自分の病気の経験から医療に向き合う人、薬学や社会人経験を経て医学へ進む人がいます。

早めに複数の選択肢を比較する

ヨーロッパには、英語で医学を学べる大学が複数あります。ハンガリー、チェコ、ルーマニア、ブルガリア、スロバキア、ラトビア、マルタ、イギリス、オランダ、フランスなど、それぞれ制度や雰囲気が異なります。

一つの国だけを見るのではなく、学費、生活費、言語、卒業後の進路、学生数、実習環境などを比較しながら、自分に合った選択肢を探していくことが大切です。

よくある質問

ヨーロッパの医学部に進む学生は、帰国子女やインター出身が多いですか?

帰国子女やインターナショナルスクール出身の学生もいますが、それだけではありません。日本の高校から進学する学生、国内大学を経て進学する学生、社会人経験を経て進学する学生もいます。

日本の普通の高校からでも目指せますか?

目指すことはできます。英語、理科、入試情報、費用、卒業後の進路を早めに確認し、自分に必要な準備を進めることが大切です。

IBや海外経験がないと不利ですか?

英語環境に慣れている点ではIBや海外経験が助けになることがあります。ただし、そうした経験がない状態から挑戦している学生もいます。大切なのは、入学前後に学び続ける姿勢です。

高校卒業後すぐに進学する人が多いですか?

高校卒業後に進学する人もいますが、大学や社会人経験を経て進学する人もいます。ヨーロッパの医学部への道は一つではありません。

国選びでは何を重視すべきですか?

学費、生活費、言語、入試形式、大学の教育環境、日本人学生の数、卒業後の進路、現地での生活のしやすさなどを総合的に見ることが大切です。

まとめ:進学ルートは一つではない

ヨーロッパで医学を学ぶ日本人学生の進学前の経歴は、とても多様です。中高一貫校、地方の公立高校、IB校、インターナショナルスクール、海外高校、国内大学、薬学部、社会人経験など、さまざまな背景を持つ学生が医学に挑戦しています。

大切なのは、出身校の名前だけで可能性を決めつけないことです。英語や現地語で学ぶ覚悟、理科の基礎、自分で情報を集める力、そして医師を目指す理由があれば、進路は一つに限られません。

自分の背景を不利だと決めつけるのではなく、これまでの経験をどう医学につなげるかを考えることが、海外で医学を学ぶ第一歩になります。

大学関連記事一覧へ戻る